バレンシアガ(balenciaga) - ウェア買取

「BALENCIAGA(バレンシアガ)」は遡ること1919年にクリストフ・バレンシアガによってスペインにて創業されたブランド。
当時では出回っていなかった着心地の良いスタイルの服作りをし、創業当初から一般の人々～皇室に至るまで
高い評価得ていました。

バレンシアガは、当時、服作りの工程を一人で全てこなす数少ないクチュリエであり、1960年代には他のブランドとは一線を画する芸術品のような服を作る神的な存在と囁かれるところまで達していたと言われていて、のちに"クチュール界の建築家"などと呼ばれる歴史的デザイナーのひとり。

戦後の時代背景と共に低迷期に入ったブランドはいくつもあったようにバレンシアガもまた例外ではありませんでした。1968年を最後にバレンシアガ本人によるコレクションは幕を閉じ1972年に彼はこの世を去りました。
その後、後続人によって1987年からプレタポルテの展開がスタートするも、その評価は無残なものでした。
そんなバレンシアガを再生させたのが、現在はルイ・ヴィトンのウィメンズ・アーティスティック・ディレクターを務める"ニコラ・ジェスキエール"です。

彼の生み出した新しいバレンシアガは「シティ」や「ファースト」など今やブランドアイコンの発祥となったバッグを中心に、爆発的なヒットを生み、大躍進。バレンシアガというブランドを完全復活へと導いたのです。その後、女性が欲しいバッグランキングの常連にもなり、現在に至っていますが、
15年間に渡って活躍したニコラ・ジェスキエールによるバレンシアガは2012年に幕を下ろし、バトンを受け継いだのは、アレキサンダー・ワン。彼自身のブランドはもちろん人気を博しているのですが、バレンシアガでのクリエイションはあまり高い評価を得られなかったと言われており、僅か2年で契約を終了しています。
ブランドとデザイナーの相性というのは難しいものなんだということを物語っていますね。


バレンシアガと言えば、ほんの数年前までは、数々のアイコンバックなどを中心に誰が見ても徹底的に高級感のある、正統派エレガントといったイメージのアイテムがまずは印象深いのでは？
なので近年バレンシアガのイメージが大きく変化していったことで驚いた方も少なくないかもしれません。

ラグジュアリーブランドとストリートファッションのミクスチャーが席捲する今、その代表的存在と言えるのが2014年彗星の如く現れ、ファッション業界に間違いなく新風を送り込んだストリートブランド“VETEMENTS(ヴェトモン)”のデザイナー Demna Gvasalia(デムナ・ヴァザリア)が2015年、アーティスティック・ディレクターになってから、これまでのバレンシアガからは想像もできない全く新しいスタイルが次々に登場し、ファン層の拡大にも勢いが止まりません。

デムナ・ヴァザリアはアントワープシックス(アン・ドゥムルメステール/ダーク・ヴァン・セーヌ/ダーク・ビッケンバーグ/ドリス・ヴァン・ノッテン/ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク/マリナ・イー(マリナ・イーがデザイナーを引退したことにより、現在はマルタン・マルジェラ、この6人のファッションデザイナーを指す)を輩出したことで知られるアントワープ王立芸術学院をなんと首席で卒業。のちにメゾン マルジェラやルイ・ヴィトンのデザイナーとして活躍していた、超実力派。そんな彼が生み出すデザインはどこかマルジェラの残像がよぎる作品なども多く、1990年代のマルジェラの再来とも囁かれており、

"ジョン ガリアーノ"がクリエイティブ・ディレクターに就任する以前からのマルジェラファンからも注目されているようです。

一大旋風を巻き起こしたヴェトモンの代名詞と言えるビッグシルエットはバレンシアガにおいてもまたひと味違ったテイストで度々登場。多くのスタイリストたちも絶賛するその絶妙なシルエットは、単純に大きいだけではない計算された美学が感じられます。

また、ブランドロゴをシンプルにすることでバレンシアガのラグジュアリー感を引き立たせるとして、2018年春夏より、一切無駄のない新ロゴへと変更。

このロゴ決定のヒントとなったのは公共交通機関などのシンプルな標識だったそう。デムナ・ヴァザリアは以前から、飾り気のない"制服が好き"とコメントしていることも有名で、「シンプル」根本にあるよう。

オーバーサイズなフォルムなどを多く展開していることからは想像しがたいかもしれませんが、彼のクリエイションは既存の洋服と、ごく身近な世界からインスパイアされているそう。
特にコレクションにテーマを設定することもしておらず、どのシーズンにおいても、服がどういったふうに着られるのか、どのように作られたのかなどを重要視しているんだとか。

そもそも、そのオーバーサイズを作り出す根源も、ソビエト時代のジョージアで、洋服を簡単に買うことができず、ジャストサイズとは到底かけ離れた大きなサイズを何年も着ることが当たり前だった時代をデムナ自身が過ごしてきたという日常の経験を活かしたデザインだと言います。


クチュールのドレスから靴下までなんでもファッションは、製品であることに変わりはないということを忘れずに、洋服を異なる視点から見たりして研究していきたい、ファッションだけにこだわらずカッコいい製品の「デザイン」をしていきたいと語るほど、彼から見たファッションは、華麗なる世界感とはかけ離れたところにあるようにも思わされます。


ロゴ変更と共に、キャップやＴシャツなどにロゴのみを配した、ひと目見ただけバレンシアガとわかるアイテムも大人気に。それでもちょっとしたシルエットやサイズ感でそんじょそこらのロゴ入りとは一線を画す雰囲気を醸し出しているのがさすがと言えるでしょう。


洋服のほか、靴(シューズ)類においても爆発的人気アイテムを打ち出す。トレンドセッターたちのマストとなったダサくて野暮ったいのにおしゃれなスニーカー、『Triple S(トリプルソール)』はダッドスニーカーブームの火付け役。バスケットボール、ランニング、陸上競技3つのスポーツシューズのソールを掛け合わせてデザインされたことから"Triple S"と名付けられました。初めて見た時はそのインパクトとあまりのゴツさにこれが本当にトレンドになるのか？！という疑問と驚きの声と、第一印象から斬新さに惹かれたという声が2分しましたが、この「ダサかわ」こそが見れば見るほどかわいくオシャレに見えてくると瞬く間に大ヒット。
10万越えの高級スニーカーだというのに新カラーが出る度に人気サイズはほぼ完売状態が続いています。

しかし、私たちから見た斬新でこれまでにはなかったかのようなファッション性の高いこのデザインの数々も、彼にとっては働く人々の作業着だったり、実用性のあるもののデザインを取り入れているだけのことのようです。
また、一部の意見では、今のバレンシアガはヴェトモンに似すぎてはいないか？など意見する人などもいるわけですが、その点はデムナ本人も少なからず理解しているよう。
自分は一人しかいないから、被ってくる部分が少なからず出てくるが、バレンシアガはパリで、ヴェトモンはチューリッヒで行うなど、活動拠点を変えることによって、デムナ・ヴァザリアは "バレンシアガ"と"ヴェトモン"を区別化しているそう。

過去のバレンシアガが好きだったと思う人もいるとは思いますが、実際、彼がバレンシアガを手掛けてから、ファッショ二スタを中心にファン層の拡大、熱狂的なファンを獲得し売上も好調であるのは事実。ファッション業界に深く精通している人からも高い評価をキープしています。デムナによるバレンシアガは今後も確実に目が離せないブランドであることに間違いなさそうです。